遺言書が見つからない時の探し方5つのポイント
「遺言書があるはずなのに、どこにも見当たらない」という状況は、相続手続きを進める中で少なくない方が直面する悩みです。
遺言書が見つからないままだと、故人の意思が反映されない形で相続が進んでしまう可能性があります。
この記事では、遺言書を探す際に確認すべき場所や手順、法的な対応方法まで、具体的なポイントを整理してお伝えします。
この記事でわかること:遺言書の探し方は「自宅の確認」「公証役場での照会」「法務局での確認」など複数のアプローチがあります。状況に応じて順番に試していくことが大切です。
遺言書が見つからない場合に最初に確認すること
遺言書を探す前に、まず「遺言書の種類」を把握しておくことが重要です。
遺言書には大きく分けて「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
それぞれ保管場所や確認方法が異なるため、どの形式で作成されたかによって探し方が変わります。
| 自筆証書遺言 | 手書きで作成。自宅や金融機関の貸金庫に保管されていることが多い。法務局での保管制度あり(2020年〜) |
|---|---|
| 公正証書遺言 | 公証役場で作成・保管。全国の公証役場で照会できる「遺言検索システム」が利用可能 |
| 秘密証書遺言 | 公証役場に存在の証明をしてもらうが、中身は非公開。自宅など本人が保管する場合が多い |
どの種類かが分からない場合は、複数のアプローチを並行して進めることが有効です。
遺言書が見つからない主な原因
遺言書が見つからないには、いくつかのよくある背景があります。
原因を把握しておくと、探す際のヒントになることがあります。
遺言書が見つかりにくい主な理由
- 自宅の目立たない場所に保管されていた(引き出し奥・本の間など)
- 第三者(弁護士・信頼できる友人)に預けたまま家族に伝えていなかった
- 銀行の貸金庫に保管されており、鍵や契約情報が不明
- 法務局保管制度を利用しているが家族がその存在を知らなかった
- 作成したが紛失・破棄されていた可能性がある
遺言書は「大切だから」という理由で、かえって見つけにくい場所に保管されていることがよくあります。
焦らず、順番に確認できる場所から当たっていくことが大切です。
遺言書の探し方5つのポイント
遺言書を探す際は、以下の5つのポイントを順番に確認していくと漏れが少なくなります。
ポイント1:自宅の保管場所を丁寧に確認する
まず最初に取り組むべきは、自宅内の確認です。
書斎・タンスの引き出し・金庫・書類ケース・本棚の間などを中心に、普段手の届きにくい場所まで丁寧に探します。
「遺言書在中」「相続に関する書類」などと書かれた封筒がある場合は、その封筒に注目してください。
※ 家庭内での探索は、相続人全員の立ち会いのもと行うと、後々のトラブル防止につながります。
ポイント2:公証役場で「遺言検索システム」を利用する
公正証書遺言の場合は、全国の公証役場に照会できる「遺言検索システム」を活用できます。
相続人であることを証明する戸籍謄本と身分証明書があれば、故人が公正証書遺言を作成していたかどうかを確認できます。
費用は原則無料で、最寄りの公証役場に出向いて申請します。
ポイント3:法務局の「自筆証書遺言保管制度」を確認する
2020年7月から始まった法務局による自筆証書遺言の保管制度を利用していた可能性があります。
法務局に「遺言書保管事実証明書」の交付を申請することで、保管の有無を確認できます。
戸籍謄本などの必要書類を準備のうえ、法務局に問い合わせてみてください。
ポイント4:金融機関の貸金庫を確認する
故人が銀行の貸金庫を利用していた場合、遺言書がそこに保管されている可能性があります。
貸金庫へのアクセスには、死亡診断書・戸籍謄本・身分証明書などが必要になることが一般的です。
取引があった銀行に相続人であることを証明したうえで問い合わせてみましょう。
※ 口座凍結後の手続きや、貸金庫の開錠に必要な書類は金融機関によって異なります。事前に確認しておくとスムーズです。
ポイント5:弁護士・信頼できる第三者に預けていないか確認する
遺言書を弁護士や司法書士、信頼できる友人に預けるケースもあります。
故人の手帳・メモ・スマートフォンのメモアプリなどに、預け先の手がかりが残っている場合があります。
また、故人と親しかった家族・友人・知人に「遺言書について話していなかったか」を丁寧に聞き取ることも大切です。
探す際に注意しておきたいこと
遺言書を探す過程で、いくつか気をつけておきたい点があります。
探索時の注意点
- 遺言書を発見しても、家庭裁判所での「検認」手続きが必要な場合がある(公正証書遺言・法務局保管の自筆証書遺言を除く)
- 封がされた遺言書を勝手に開封すると、法律上問題になる可能性がある
- 遺言書の内容を改ざん・破棄すると刑事罰の対象になりえる
- 遺言書が複数見つかった場合は、最も新しい日付のものが有効とされることが多い
万が一、遺言書の内容に疑問点が生じた場合や、相続人間でトラブルが起きそうな場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
遺品整理・実家の片付けに関するご相談はお気軽に
遺言書の探索と並行して、遺品整理が必要になるケースも多くあります。
「何を残すか」「どこから手をつけるか」が分からない場合も、写真だけで相談いただける場合があります。
状況を共有いただければ、進め方を一緒に整理できます。
遺言書が見つからない場合のケース別対応
すべての方法を試しても遺言書が見つからない場合や、状況によっては次のような対応が考えられます。
遺言書が存在しないと判断された場合
遺言書が見つからないと判断された場合は、「法定相続」による手続きに移行することになります。
法定相続では、民法で定められた割合にしたがって遺産を分割します。
相続人全員の同意のもと「遺産分割協議」を行い、合意内容を「遺産分割協議書」にまとめるのが一般的な流れです。
相続人間で意見が分かれる場合
「遺言書があるはずだ」という主張が相続人間で出た場合や、遺言書の内容をめぐって争いが起きた場合は、家庭裁判所に調停・審判を申し立てる方法があります。
このような場合は、弁護士に相談のうえ、適切な手続きを踏むことが望ましいです。
遺品整理の段階で書類が混在している場合
遺品整理の過程で大量の書類の中に遺言書が紛れ込んでいることもあります。
書類の仕分けを進める際は、重要書類を誤って処分しないよう、一度すべて手元に集めてから確認する方法が安全です。
遺品整理を専門業者に依頼する場合も、「書類類は手を付けずに残しておく」などの方針を事前に伝えておくと安心です。
まとめ:遺言書探しは順番が大切
遺言書が見つからない場合は、次の順番で確認を進めていくことが基本です。
遺言書探しのチェックリスト
- 自宅の保管場所を相続人立ち会いのもと確認する
- 公証役場の遺言検索システムで公正証書遺言の有無を照会する
- 法務局に自筆証書遺言保管制度の利用有無を確認する
- 金融機関に貸金庫の有無を問い合わせる
- 弁護士・信頼できる第三者へ預けていないか関係者に確認する
すべて確認しても見つからない場合は、専門家(弁護士・司法書士)に相談のうえ、法定相続の手続きへ移行することを検討してください。
遺品整理が同時並行で必要な場合は、書類の取り扱いについて事前に整理しておくと、大切なものを見落とすリスクを減らせます。
遺品整理・実家の片付けのご相談はお気軽にどうぞ
「どこから手をつけるか分からない」「書類の整理も含めて相談したい」という方も、写真だけでご状況を共有いただければ進め方を整理しやすくなります。
現地確認が必要なケースもありますが、まずはご連絡ください。
前の記事へ
« 家族に負担をかけない生前整理の具体的手順次の記事へ
相続の遺留分とは?その重要性と計算方法 »
封がされた状態のものは開封せず、まず弁護士や司法書士に相談することをおすすめしています。
作業前に「書類の扱い方針」を共有していただけると、大切なものを見落とさず進めやすくなります。状況によって対応方法は変わりますので、まずは現状を教えてください。