高齢者の生活には様々な心配がつきものです。自身の親であればその心配はより大きなものとなります。しかし、親の生活が心配でも、何をサポートしたらいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、老親の生活においてサポートが必要なポイントについて紹介します。

◆老親をサポートするための基本的な理解

老親へのサポートの重要性

人は加齢に伴い、身体機能も認知機能も低下していきます。これまで出来ていたことが難しくなったり、トラブルへの対応がスムーズにできなくなったりと、若い頃と同じように生活を続けることは難しいです。万が一のことが無いように、子供世帯が様々な面でサポートすることが大切です。

老親の気持ちの理解

子供から見ると心配な親の生活でも、本人は今まで通りで問題ないと思っていることもあります。心配している気持ちと、具体的にどこが危ないのかを伝え、サポートを申し入れましょう。話を聞いていくと、日々の生活で起こった些細なトラブルや、困っていること、感じていることなどを聞き出すことができ、生活のどこをフォローすると暮らしやすくなるのかが分かるかもしれません。

◆精神面のサポートの提供

仕事を引退し、運動能力も衰えた高齢者は、人との交流が減り孤独を感じていることが多いです。特に、家族と離れて暮らしている高齢者はより寂しい気持ちを抱えています。ここでは、老親の精神面のサポートについて方法を紹介します。

高齢者が抱える心の問題

高齢者は、若い頃には当たり前にできていたことができなくなる不安感や、人との交流が減ることで感じる孤独感を覚えることが多いです。このような感情がストレスとなり、それが原因で体調を崩してしまったり、酷い場合はうつ病を発症してしまったりすることもあります。

コミュニケーションの効果と方法

1. コミュニケーションの効果: 人との会話はストレス軽減効果があります。また、人とのコミュニケーションを持つことで、生活にメリハリが生まれ、生きがいとなることも多いです。更に、会話することは脳の活性化に繋がり、認知症の予防にもなります。
2. コミュニケーションの方法: 親とコミュニケーションを取る上で、一番良い方法は直接会い、顔を見ながら話すことです。子供の顔が見られることは親にとってうれしいことです。言葉以外の表情や仕草でも感情を伝えることができます。しかし、遠方に住んでいるなど直接会って話すことが難しい場合もあると思います。電話での会話ももちろん良いのですが、可能ならテレビ電話を活用しましょう。離れていてもお互いの顔を見ながら会話を楽しめます。
3. コミュニケーションのポイント: 親とコミュニケーションを取る上で大切にしたいのは、本人が抱えている心の問題に寄り添うことです。「いつでも頼ってね」や「私が付いている」などの言葉は安心感を与えることができ、不安感や孤独感の解消に繋がります。

家族全員での協力

特定の子供世帯だけでなく、他にも子供や孫がいる場合、全員で協力して親のサポートを行いましょう。親世帯のみで生活しているのであれば、交代で実家に顔を出すことで安心してもらえます。また、特定の子供世帯と同居しているのであれば、他の兄弟も交流を行いましょう。多くの人と関わることで楽しく過ごすことができ、親が抱えている問題があっても気付きやすくなります。

◆日常生活の支援

日々の生活を快適に過ごすためには、様々なことをこなしていかなければなりません。高齢者は身体機能や認知機能が衰えていくため、毎日当たり前のようにやっていることでもサポートが必要になってしまうことがあります。ここでは、老親の生活のどこに着目してサポートをしたらいいかをお伝えします。

日常生活のサポート

1. 家事のサポート: 毎日の家事はやらなければいけないことが沢山あります。食材の買い出しや調理、洗濯、掃除など身体を使う作業も多いです。親の身体状況を確認し、必要に応じて、食材や料理の宅配を頼んだり、乾燥機一体型の洗濯機を導入したり、ハウスクリーニングを頼んだりしましょう。
2. 金銭管理のサポート: 歳を取り、判断能力が衰えてくると詐欺などにあうリスクが増加します。また、認知症になってしまうと、口座の暗証番号が分からなくなってしまい凍結状態になってしまう可能性もあります。親と相談し、家族信託や後見人制度を利用しましょう。
3. 外出のサポート: 高齢者は免許を返納していることも多く、公共交通機関での移動が増えます。しかし、遠方への外出や、多くの荷物を持っての移動は体に負担がかかります。親の希望を確認し、車での送り迎えや、外出の付き添いなどのサポートを行いましょう。無理をして外出先で転倒し怪我をしてしまうなどの事態を防ぐことができ安心です。

安全で快適な生活環境の提供

1. バリアフリー化: 高齢者の転倒による怪我は自宅で起こることが多いです。親の暮らす家の状態を確認し、必要に応じて改装を行いましょう。段差を無くしたり、手すりを設置したりして安全に移動できる室内を目指して下さい。
2. 物の整理: 家に物が多いと、通路を塞いでしまい動線が悪くなり、ぶつかって転倒や怪我をしてしまうリスクも高まります。不要なものは処分し、暮らしやすい室内を整えましょう。

◆健康管理のサポート

歳を取ると様々な病気のリスクが上がります。高齢者の健康管理は元気に暮らすために欠かせません。ここでは高齢者の健康面でのサポートについて紹介します。

老親の健康管理

1. 健康診断: 健康維持には定期的な健康診断は欠かせません。健康診断により、早期に病気の種や、健康上悪い数値などに気づくことができ、改善に繋げることができます。親に健康診断を受けているか確認し、結果を一緒に見て必要であれば生活を見直しましょう。
2. 日々の健康チェック: 血圧や体重などの毎日の健康チェックも行いましょう。親と離れて暮らしていても、スマホと連動して測定結果をお知らせしてくる機能を持つ測定器もあるので導入を検討してみて下さい。

在宅介護の選択

親と離れて暮らしているが、親が要介護者となってしまい、本人のみでの生活が心配という場合は、同居して在宅介護を行う選択肢もあります。補助金や外部サポートも活用できるので、育ててくれた親に直接恩返しがしたいと思っている人は検討の価値があります。

認知症への対応

親の物忘れが多くなったり、人柄が変わったりして認知症を疑うことがあるかもしれません。認知症は放置していると進行してしまい、大きな事故に繋がってしまう可能性もあります。認知症かもしれないと感じたら、家族と話し合い、医療機関を受診しましょう。

◆外部サポートサービスの利用

親のサポートをしたいが、住んでいる場所や時間の問題で難しいこともあると思います。そういった場合は高齢者向けのサポートサービスを活用しましょう。ここではいくつかの外部サービスについて紹介します。

地域包括支援センターへの相談

地域包括支援センターは、高齢者に関する相談やサポートを行っている機関です。高齢者本人はもちろん、その家族も相談することが可能なので、困ったことがあった時は訪ねてみましょう。

訪問支援サービスの活用

親が要介護者の場合、訪問介護サービスの活用も検討しましょう。訪問介護は介護ヘルパーが自宅へ訪問して、要介護者の身の回りの世話をしてくれるサービスです。入浴や食事の介助といった身体介護と、買い物や掃除などの生活援助を受ける事ができます。サービスを受ける内容について、介護支援専門員に相談しましょう。

介護施設への入居

親の介護が必要だが、子ども世帯のみでは対応が難しい場合は、介護施設への入居も一つの手です。事前に親と必ず相談をして見学し、入居手続きのサポートを行いましょう。

◆まとめ：老親をサポートするための心得

老親への感謝

親は長い時間をかけてあなたを育ててくれた大切な存在です。感謝の気持ちを忘れずに、年老いた親が快適に暮らせるようなサポートを行いましょう。

家族全員でのサポート体制

一人でサポートできる量には限界があります。特に要介護者となってしまった親は多くのサポートが必要となります。家族全員でコミュニケーションを取りあい、協力しながら最適なサポートを提供しましょう。

外部サポートの活用

自分の親だからといって、全てを家族だけで解決する必要はありません。高齢化社会の日本においては多くのサービスが提供されています。無理をせず制度を活用しましょう。

歳を取り体の自由が利かなくなってきた親は様々な不安を抱えています。適切にサポートを行い、快適で安心な生活を提供しましょう。