セルフネグレクトという言葉、聞いたことはありますか。
近年、自分の健康や安全を脅かす状態として注目されています。
セルフネグレクトとは一体どんな状態なのでしょうか。

今回は、セルフネグレクトの定義や原因、特徴について詳しく解説するとともに、セルフネグレクトから抜け出すためのヒントを紹介します。

□セルフネグレクトの定義と特徴

セルフネグレクトとは、自分自身の健康や安全を脅かす状態のことを指します。
近年、高齢者だけでなく、年齢や性別を問わず、様々な人がセルフネグレクトに陥っていることが問題視されています。

しかし、セルフネグレクトは、病気や精神疾患というわけではなく、様々な要因が複雑に絡み合って起こる状態です。

＊セルフネグレクトの定義

研究者によって様々な意見がありますが、この記事では、野村・岸らの定義を参考に説明していきます。
野村・岸らは、セルフネグレクトを「健康、生命および社会生活の維持に必要な、個人衛生、住環境の衛生もしくは整備又は健康行動を放任・放棄していること。」と定義しています。
つまり、自分自身の健康や生活を維持するために必要な、基本的なケアや行動を放棄してしまう状態を指します。

＊セルフネグレクトの特徴

セルフネグレクトは、人によって現れ方が異なりますが、共通して見られる特徴として、以下の様なものが挙げられます。

・身体的なケアの怠り
・住環境の不衛生
・食生活の乱れ
・医療機関への受診を拒否
・社会的な孤立
・金銭管理の困難

＊セルフネグレクトの原因

セルフネグレクトの原因は、一つではありません。
高齢者の場合、身体機能の低下、認知症、経済的な困窮などが原因として挙げられます。

しかし、近年では、高齢者だけでなく、若い世代でもセルフネグレクトに陥る人が増えています。

1:身体機能の低下

病気や怪我、加齢などによって身体機能が低下すると、掃除や洗濯、料理など、日常生活の動作が困難になることがあります。
その結果、生活環境が乱れ、セルフネグレクトに繋がることがあります。

2:精神的な問題

うつ病、不安障害、認知症など、精神的な問題を抱えている場合も、セルフネグレクトの原因となります。
精神的な問題を抱えていると、意欲や集中力が低下したり、周囲とのコミュニケーションが難しくなったりすることがあります。
その結果、自分自身のケアを放棄してしまうことがあります。

3:経済的な困窮

生活費が不足したり、借金を抱えたりすると、生活の維持が困難になります。
そのため、住居や食費など、生活に必要なものを諦めざるを得なくなり、セルフネグレクトに繋がることがあります。

4:社会的な孤立

家族や友人との交流が少なく、社会的に孤立している状態も、セルフネグレクトの原因となります。
社会的な孤立は、孤独感や不安感を増幅させ、自分自身のケアを放棄しやすくなります。

5:トラウマや虐待

過去にトラウマや虐待を経験している場合、セルフネグレクトに繋がることがあります。
トラウマや虐待は、自己肯定感の低さや、他者への不信感、心の傷など、様々な問題を引き起こす可能性があります。
その結果、自分自身のことを大切にできず、セルフネグレクトに繋がることがあります。

□セルフネグレクトから抜け出すために

セルフネグレクトは、本人が自覚していない場合も多く、周囲の人も気づきにくいことがあります。
もし、あなたがセルフネグレクトの状態にあると感じるか、周囲の人がセルフネグレクトの状態にあると感じたら、一人で抱え込まずに、専門家に相談することをおすすめします。

1: 専門家への相談

セルフネグレクトは、専門機関に相談することで、適切なサポートを受けられます。
相談できる機関としては、以下の様なものがあります。

・地域包括支援センター
・精神科クリニック
・自治体の相談窓口
・NPO法人

2:周囲の人のサポート

セルフネグレクトは、本人だけでなく、周囲の人もサポートが必要です。
周囲の人は、本人の状態を理解し、優しく寄り添うことが大切です。
無理強いしたり、責めたりするのではなく、本人が安心して相談できるような雰囲気作りが重要です。

3:具体的な支援

セルフネグレクトから抜け出すためには、具体的な支援が必要です。
具体的な支援としては、以下の様なものがあります。

・住環境の改善
・食生活の改善
・医療機関への受診
・経済的な支援
・社会的な交流

□まとめ

セルフネグレクトは、本人が自覚していない場合も多く、周囲の人も気づきにくいことがあります。

しかし、放置すると健康や安全を脅かす深刻な問題となる可能性があります。
セルフネグレクトに気づいたら、一人で抱え込まずに、専門家に相談したり、周囲の人に助けを求めたりすることが大切です。
セルフネグレクトから抜け出すためには、本人の努力だけでなく、周囲の人々のサポートも不可欠です。