遺産分割はどのように行う?方法をご紹介!
相続の対象になってしまったが、遺産分割をどのように進めればいいのか、何に気を付ければいいのか分からないという方もいると思います。知識不足により、相続人同士でのトラブルや、相続により損をしてしまう事態も起こりかねません。ここでは、遺産分割の方法や手順について、ポイントを交えながら紹介します。
◆遺産分割の基本
遺産分割とは
遺産分割とは、故人の財産や資産を相続人同士で分ける手続きのことです。遺言書に従って遺産分割する場合と、相続人間で話し合いを行い遺産分割する2つのパターンがあります。
遺産分割の対象物
遺産分割の対象物には、以下のものが含まれます。漏れがないように、しっかりと確認しましょう。
- 財産と資産: 故人が所有していた預金、不動産、証券、貴金属などの、金銭的価値のあるものが対象になります。
- 債務と負債: 分割の対象には、預金や不動産などのプラスの遺産だけでなく、借金などのマイナスの遺産も含まれます。消費者金融での借り入れを始め、友人など個人からの借金や、家賃や光熱費といった各種支払いも含まれます。
遺産分割の対象者
亡くなった人の配偶者、親、子孫、兄弟等が法定相続人の対象になり、相続人の組み合わせや配分は故人の家族構成によって異なります。例えば、配偶者と二人の子供がいる場合は、配偶者が二分の一、子供が四分の一ずつ相続を認められます。
◆遺産分割の方法
遺産分割は状況によっていくつかの方法を取ることができます。ここでは遺産分割を行うタイミングと方法について紹介します。
遺産分割のタイミング
遺産分割には具体的な期限はありません。しかし、遺産分割に伴う以下のような手続きには期限があるため、先延ばしにせず早めに進めることをおすすめします。
- 相続放棄: 相続対象となる遺産のマイナスが明らかに大きい場合や、相続自体をしたくない場合に選択できます。相続の開始を知ってから3カ月以内に、家庭裁判所に申し入れなければなりません。相続放棄により、最初から相続人でなかったとみなされます。
- 相続税の申告: 相続税が発生する場合、相続の開始を知ってから10か月以内に税務署へ申告が必要です。基本的には基礎控除額(3000万円+相続人の人数×600万円)を超える場合に相続税が生じます。
4つの分割方法とその特徴
遺産分割には以下の4つの方法があります。相続対象者に適している方法を取りましょう。
- 現物分割: 現物分割とは遺産を物理的に分ける方法です。例えば遺産が預金のみであった場合は、それを相続人同士で分割します。遺産が建物と土地であった場合、建物は配偶者、土地は子供などで分けて相続する方法です。
- 換価分割: 土地や建物などの遺産を売却して得られた代金を、相続人同士で分ける方法です。売却の手間や費用は掛かりますが、相続人間で公平に分けることができます。
- 代償分割: 特定の相続人が不動産などを相続する代わりに、他の相続人に対して代償金を支払う方法です。建物などの、分割して相続することが難しい遺産を、売却することなく受け継ぐことが出来ます。
- 共有分割: 土地や建物といった不動産を相続人間で共有名義とする方法です。土地や建物を複数の相続人が欲しがった場合に選択することがあります。この方法は権利関係の手続きが煩雑になり、売却時にはトラブルになることも多いです。
◆遺産分割の手順
遺産分割は大まかに以下のような手順で進めます。状況に合わせ、事前に流れを把握し、スムーズに進められるようにしましょう。
遺言書の確認
まずは遺言書の有無を確認しましょう。遺言書とは故人が生前に、自分の財産を、誰にどのような分配で残すのかについて希望を書き記したものです。形式や内容に問題のない遺言書があれば、滞りなく相続を進められます。
相続対象物の確認
遺産を洗い出し正確に把握しましょう。不動産、預金、株式、借金などを漏れが無いようリストアップし財産目録を作成します。不動産や貴金属は査定を依頼し、価値を評価しましょう。
遺産分割協議
遺言書がない場合、遺産分割協議を行い財産分割について相続人全員で話し合いましょう。また、遺言書があったとしても相続人全員が内容に反対する場合、協議を行うことが出来ます。もし、遺産分割協議で全員の合意が得られなかった場合、遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てます。
名義変更手続き
土地や建物などの不動産を相続した場合、名義変更が必要です。必要書類を揃え、登記申請書を作成しましょう。相続する不動産が複数である、共有分割を行うなどの場合、手続きが煩雑となるため、司法書士に依頼した方が安心です。また、預金口座も名義変更や解約・払い戻し手続きが必要です。
相続税の納付
相続財産が高額な場合、相続税を納付する必要があるかもしれません。期日の経過や、申告漏れがないように気を付けましょう。相続税の計算や手続きは、税理士等の専門家へサポートを依頼するのもおすすめです。
◆相続人同士の話し合いのポイント
遺産分割はトラブルが起こりやすいです。その後の家族や親戚付き合いに悪影響がでないよう、しっかりとコミュニケーションを取って進めましょう。ここでは話し合いのポイントをいくつか紹介します。
早期の話し合い
遺産分割はいつまでにやらねばならないという決まりはありませんが、早めに進めるのが賢明です。相続関係の手続きの中には期日があるものもあります。時間に追われながらの話し合いでは穏やかに進めるのも難しいです。
意見の尊重
例えば家など、遺産によっては、思い入れが強いものもあると思います。相続人同士で話し合う際は、お互いの気持ちを聞き、全員が納得する方法を探しましょう。円満に話し合いを進め、その後の家族関係に亀裂が入らないように気を付けてください。
協議内容の文面化
遺産分割協議を行った際は、話し合いの内容をしっかり記録しましょう。口約束だけでは後々トラブルに発展する可能性が高いです。
◆まとめ:円滑な遺産分割のために
遺産分割の事前準備
遺産分割を行うためには、相続に関する知識が必要です。故人の財産や家族構成などを踏まえ、どのような方法で分割できるかを調べてみましょう。必要な手続きや、分割方法に関する知識があると話し合いの時に役立ちます。
相続人同士の協力
遺産分割を行う上では様々なことを進めなければなりません。遺言書の有無や内容の確認、財産目録の作成、遺産分割協議、相続後の手続きなど一人で進めるのは骨が折れます。相続人同士で協力し、特定の一人に負担がかかり過ぎないように注意しましょう。
遺産分割における注意点
遺産分割の際に最も避けたいのが、後になってトラブルに発展してしまうことです。トラブルの原因は様々ですが、例えば後から見落としていた財産が出てきた、特定の相続人が意見を強引に通してしまった、などが考えられます。トラブルのリスクを下げるためにも、一つ一つのステップに問題がないか確認しましょう。
専門家への相談
相続には煩雑な手続きが多いです。相続人全員にあまり知識が無く、不安がある場合は弁護士や司法書士に相談し、サポートを受けましょう。また、遺産分割をめぐって争いなどのトラブルが発生している場合は早々に弁護士に相談した方が賢明です。
家族が亡くなってしまった際、遺産分割は避けては通れません。相続人同士で協力し、故人の残した財産を大切に受け継ぎましょう。
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