自身が亡くなった時や、認知症を患い判断能力が無くなった時、残された家族は多くの事を行わなければなりません。いつか訪れるその時に備えて生前準備を行いましょう。生前準備とは、元気なうちに老後や亡くなった後を見据えて、遺言作成や家族との話し合いを進めておくことです。この記事では、いざという時に家族が困らないよう、生前にしておくべき項目について紹介します。

◆生前準備の重要性

自身の希望を伝えられる

認知症により判断能力が失われた時や、亡くなってしまった後では自身の希望を伝えることはできません、生前準備を行うことで、自身が築きあげた財産の行く末や、葬儀や墓の希望を家族に伝えることができます。

家族の負担を軽減できる

認知症患者や亡くなってしまった人の家族は、様々な手続きや後片付けをしなければなりません。財産の情報や希望する葬儀内容などを事前にまとめておくことで、あなたの家族の負担を大きく減らすことができます。また、相続の話し合いを事前に済ませておくことで、相続人間の争いを防ぐことができます。

◆財産と資産の整理

生前準備として必要な項目の一つが財産の整理です。財産の所在や必要書類をはっきりさせておくことで、いざという時に家族は非常に助かります。

資産リストの作成と管理

1. 資産リストを作成する: 自身の持つ財産を全てリストアップしましょう。プラスの財産としては、預金、株式、不動産、貴金属などがあります。財産の項目ごとにExcelシートなどを活用してまとめて、家族にリストの存在を伝えておきましょう。
2. 資産の評価: 各財産の資産価値をリストに記載しましょう。資産価値は変動する場合も多いですが、購入時の価格などを記載しておくと参考になります。
3. 関連書類の整理: 不動産を相続する場合、土地や建物の権利書が必要になります。購入時の資料を見て、必要な情報が揃っているか確認しましょう。

負債と保険の管理

1. 負債の確認: 相続の対象には、負債も含まれます。住宅ローンや消費者金融での借り入れがある場合はこちらもまとめておきましょう。
2. 保険の整理: 生命保険や自動車保険などを契約している場合、保険会社や補償内容などをリストアップしておきましょう。

◆遺言書の作成と更新

自身の残した財産の分配方法について伝える手段として一般的なものが遺言書です。法的要件を満たした遺言書があれば遺産相続はスムーズに進みます。前もって作成し、家族の負担を軽減しましょう。

遺言書の作成手順

1. 相続人の確認: 財産の割り振りを考える前に、相続人を正確に確認しておきましょう。相続人が正しいか不安がある場合、戸籍謄本を取り寄せて確認する方法があります。
2. 相続財産の確認: 前述の項目で、作成した資産リストを元に、相続財産を確認しましょう。
3. 遺言書の作成: 遺言書には自筆証書遺言や公正証書遺言などいくつか種類があります。自身に合ったものを選び作成しましょう。

遺言書の内容と法的要件

1. 遺言書の内容: 遺言書には、誰に何を相続させるかを分かりやすく記載する必要があります。具体的な金額や、株式の名称・数量を書きましょう。
2. 遺言書の法的要件: 遺言書を自筆する場合、守らなければならない要件があります。例えば、署名や押印が必要だったり、作成日を明記したりしなければなりません。見本や例文を参考にして間違いの無いように作成しましょう。

定期的な遺言書の見直しと更新

遺言書は自身の心境や状況に合わせて定期的に見直しましょう。家族構成の変化や財産の変動があれば、遺言書を更新することが必要になります。

◆家族との事前の話し合い

遺言書の作成などの生前準備は、相続人となる家族への希望の確認や説明も必要です。家族と適切にコミュニケーションを行い、円滑に準備を進めましょう。

家族の希望確認

1. 相続関係の希望確認: 家族全員が集まる場を設けて、相続について話し合いましょう。自身の希望を伝え、問題ないか確認します。勝手に遺産の配分を決めてしまうと、相続人である家族同士でトラブルに発展する可能性もあるので注意しましょう。
2. 遺品配分の希望を伝える: 法定相続人以外に、財産を特定の人に譲りたい場合はしっかり伝えて了承を得ておきましょう。

家族への遺言書と財産計画の説明

1. 遺言書の説明: 家族に遺言書の存在と内容を説明しましょう。実際に見せながら、間違いが無いか確認しておくと安心です。遺言書の保管場所も伝える必要があります。
2. 財産計画の説明: 遺言書の説明と合わせて、老後生活の財産計画も伝えておきましょう。生活のイメージが付くと家族も安心です。

◆医療と介護に関する計画

生前準備として必要な項目は、相続に関することだけではありません。自身が病気や認知症により意思表示が出来なくなった時に備えて、医療や介護に関する希望を伝えておきましょう。

介護計画の作成

自身に介護が必要になった場合の希望を家族に伝えておきましょう。特に認知症になった場合は、希望を伝えることが難しくなります。入りたい施設を探したり、必要な費用を確保しておいたりすると、家族の負担を軽減できます。

代理人の指定と緊急時の連絡先

1. 代理人の指定: 自分に判断能力がなくなった時に備えて、家族信託や任意後見人制度などを活用し、手続きや財産管理などを代理で行ってくれる人を指名しておきましょう。
2. 緊急時の連絡先: 自身に何かあった場合に必要になる、家族や医療機関の連絡先をリストアップしておきましょう。一人暮らしの場合は近隣の住民などに伝えておく手もあります。

終末期の医療の意向

認知症を患った場合や、病気により意思表示が難しくなった場合を想定して、終末医療の希望を伝えておくと安心です。延命治療の希望や、最期を迎えたい場所などをエンディングノートなどに記載しておきましょう。

◆葬儀と埋葬の計画

自身が亡くなった際、残された家族は悲しみに暮れる中、急いで葬儀の手配を行わなければなりません。生前に準備を進めておくことで、家族の負担を減らすことが可能です。

葬儀の内容や葬儀社の決定

1. 葬儀の内容: 葬儀の内容には様々なものがあります。葬儀は宗派によって異なるため、まずは自身の宗派を確認しましょう。最近は、家族葬や一日葬といった小規模な葬儀を希望する人も増えています。自身の希望や予算に合わせて選びましょう。
2. 葬儀社の選定: 葬儀社の中には生前に予約できる事業者もあります。自身の希望する葬儀内容に合わせて葬儀社を選定しましょう。事前に葬儀社を決めておくことで、いざという時に家族が急いで探さなければならない状況を回避できます。
3. 遺影の準備: 遺影を事前に選んでおくことで、自身の気に入った写真を遺影とすることができます。もし良い写真が無い場合は撮影しましょう。遺影撮影用のプランがある写真スタジオもあります。

お墓の準備と場所の選定

葬儀以外にもお墓も生前に準備することが可能です。お墓を新しく作る場合は、手間や費用が掛かるため、事前に作っておくことで家族の負担を軽減できます。また、自分の希望するデザインや場所でお墓を用意することが出来ます。

◆まとめ：生前準備をスムーズに進めるために

チェックリストの活用と進捗管理

生前準備でやるべきことは多くあります。必要な項目をチェックリストにまとめて、進捗管理を行いましょう。焦らず、重要な項目から一つずつクリアしていきましょう。

家族との十分なコミュニケーション

生前準備には家族との話し合いが欠かせません。お互いの希望を伝えあい、家族全員が納得する形で進めるようにしましょう。事前に準備することで、家族の負担を大きく軽減することができ、自身も自分らしく最期を迎えることが出来ます。

自身が亡くなると、その後の手続きは自分で行うことができず、希望があってももう伝えることはできません。事前に準備しておくことで、希望を伝