介護を行う家族の負担はどう軽減する?サポート方法をご紹介!
高齢化が進む日本において介護は大きな社会問題の一つです。高齢化に伴い、要介護者が増える一方、介護人材は不足している状況です。そういった中、自宅での介護を選択する人も増えており、介護する家族は大きな負担を強いられています。この記事では、在宅介護における介護者の負担を軽減する方法について紹介します。
◆介護家族が抱える課題
ストレスを抱えやすい
介護は負担が大きいことから、介護者はストレスを抱えやすいです。毎日の負担が蓄積し、それを発散できないと爆発してしまう恐れもあります。積み重なったストレスが原因で、要介護者を虐待してしまうケースもあります。
金銭的負担
在宅介護の場合、介護用品や必要なリフォームに費用がかかります。これに加えて介護者は時間的拘束から仕事を制限されることがあり、その場合は収入が減って、生活が圧迫されます。
老老介護
現在増えているのが、老老介護です。高齢化が進み、核家族世帯も増えていることが原因です。高齢者は若者と比較して介護をする際の身体的負担が大きくなります。無理をして介護者自身が体調を崩してしまう可能性もあります。
◆ストレス管理と精神的なケア
大切な家族の為だとしても、どうしても介護は様々な要因で負担となります。ストレスを抱え過ぎて鬱に繋がる場合もあるので、精神的なケアは大切です。ここでは介護ストレスケアについて紹介します。
ストレスの原因
- 時間的制約: 要介護度にもよりますが、在宅介護では食事や入浴のサポート、着替えや移動の補助など様々なことをこなさねばなりません。要介護者が認知症を患っている場合は、長時間目を離すことも困難です。自分の時間がなかなか確保できず、ストレスが蓄積し、発散も出来ないケースがあります。
- 身体的負担: 介護は、身体を支えたり、持ち上げたりと身体的負担がかかりやすいです。また、夜中でも介護が必要な場合もあります。腰を悪くしたり、寝不足で疲れがなかなか取れなかったりするとイライラしやすい状態になります。
- 精神的負担: 介護の中には、排泄のサポートや認知症への対応など、精神的負担が大きいものもあります。また、介護に追われていると、他人との交流も減り孤独感を感じやすいです。
ストレスチェックと自己ケア
- ストレスチェック: ストレスは少しずつ蓄積していくため、無自覚のうちに身体の不調に繋がっているかもしれません。定期的に介護ストレスチェックを行い、介護者自身の健康管理も行いましょう。
- 自己ケア: 介護生活において大切なのが、自分自身の時間を確保することです。家族や親戚、介護サービスを頼り、可能な限り自由な時間を持つようにしましょう。一時的にでも介護から離れ、趣味を楽しんだり、友人と交流したりして過ごす時間は、介護生活を続けていく上で必要です。
介護者同士の交流
介護は、経験者でなければ理解してもらえない苦労が多いです。介護者同士の交流会やオンラインコミュニティに参加してみましょう。他の介護者と苦労を共感しあったり励まし合ったりすることで、ストレスや孤独感が軽減され、気持ちが楽になるかもしれません。介護のアイデアやコツを教えてもらえる可能性もあります。
◆家族間での負担の分散と協力
要介護者の状態によっては、必要なサポートが多くなります。特定の一人が全てをこなそうとすると、身体的にも精神的にも大きな負担がかかってしまいます。家族全員で協力し、負担を軽減しましょう。
介護の役割分担
介護に携わることのできる家族が複数人いる場合は、体力や空いている時間などを考慮して分担を行いましょう。仕事が忙しく時間が取れないという場合でも、休日の一部や、仕事前後の少しの時間でもできる事を探してみましょう。
家事の協力
毎日の生活を送るには介護以外に家事も行わなければなりません。家族で家事を分担し、一人に負担がかかり過ぎないようにしましょう。家事と介護で完全に役割分担、という方法もありますが、一部を入れ替えるとそれが気分転換になることもあります。
家族間でのコミュニケーション
- 家族会議: 定期的に家族会議を設けて、介護の状況や課題を共有しましょう。自分が気付いていなかったことに気付けたり、負担を軽減するアイデアが出たりする可能性もあります。
- 感謝の表現: 介護負担を軽減するには家族の協力が欠かせません。お互いに感謝を伝え合うことで気持ちよく助け合うことができます。
◆経済的負担を軽減できる制度
介護においてかかる負担の一つに経済的負担があります。介護に必要なおむつなどの用品、自宅のリフォーム、介護機器の購入など様々な費用がかかります。ここでは介護における金銭的負担を軽減できる制度を紹介します。
高額介護サービス費
訪問介護などの介護保険適応のサービスの自己負担は、所得によりますが1~3割で済みます。しかし、介護サービスをいくつか併用した場合、1~3割負担でも高額になってしまうことがあります。高額介護サービス費とは、月当たりの自己負担額が上限額を超えた場合、超過分を払い戻ししてもらえる制度です。超過した場合、自治体から申請書が送られてきます。
介護休業給付金
介護休業給付金とは、仕事を休んで家族の介護に従事する人が対象になる制度です。職場復帰が前提など、いくつかの条件がありますが、賃金の67%分を最大で93日×3回受け取ることが可能です。この給付金は、介護休業終了後にしか申請できないので注意が必要です。
介護リフォーム補助金
在宅介護のために、手すりを付ける、段差を解消するなどの自宅のリフォームを行う場合、補助金が支給されます。1割~3割は自己負担となりますが、上限20万円(1割負担の場合は、自己負担:2万円、補助金:18万円)まで補助金がでます。工事の前に申請が必要なため気を付けましょう。
◆在宅介護サービスの活用
介護は多岐に渡ります。特に介護度が高い場合、全ての介護を家族のみで行うのは難しいこともあります。在宅介護でも受けることが出来るサービスを活用し、家族の負担を軽減しましょう。
訪問介護
訪問介護員(介護ヘルパー)が自宅へ訪問し、要介護者の身の回りの世話をしてくれる介護保険サービスです。訪問介護には、入浴や食事、排泄の介助を行う身体介護と、調理や清掃などを行う生活援助があります。しかし、同居家族がいる場合、生活援助は受けることが難しい場合もあります。サービス内容については、事前に確認しましょう。
デイサービス
利用者が通って、食事や入浴といった日常生活の介助を受けることが出来る施設です。レクリエーション等があるので、要介護者の孤独感を軽減できるメリットもあります。デイサービスを利用している間、介護者は自身の時間を持つことが出来ます。在宅介護の場合に多く利用されているサービスです。
ショートステイ
要介護者が短期的に介護施設に宿泊し、介護を受けることができるサービスです。仕事の都合や、冠婚葬祭により一時的に家族による介護が難しくなる場合に利用されることが多いです。介護に疲れた時に、リフレッシュのために利用することもできます。
◆まとめ:介護を行う家族へのサポートの重要性
介護者の負担の軽減
介護は負担が大きくストレスを抱えやすいです。家族で協力することで負担を軽減できます。介護する家族全員がリフレッシュの時間を取れるように工夫しましょう。
サポート制度の活用
在宅介護を行う上で利用できる制度は色々あります。金銭的負担を軽くする制度や、訪問介護などの介護自体の負担を軽減する制度を活用しましょう。
現代日本において介護問題は避けては通れません。自身が直面した際は、家族全員で協力し、無理ない介護生活を目指しましょう。